筒井康隆の「霊長類南へ」を読んだ印象は?プロフィールや経歴や代表作品も紹介!

 

筒井康隆氏の「霊長類南へ」は、1969年に発表されたSF小説です。

1974年に映画化もされた筒井康隆氏の代表作のひとつであり、SFファンだけでなく、多くの読者に愛されている作品です。

そこで今回は、「霊長類南へ」を読んだ印象や筒井康隆さんのプロフィールや経歴、そしてだいひょ作品についてもご紹介したいと思います。

ぜひ、最後までご覧ください。

筒井康隆の「霊長類南へ」を読んだ印象は?

早速、筒井康隆さんの「霊長類南へ」を読んだ印象から書いていきたいと思います。

とある国の軍事施設での些細なケンカを発端に勃発した世界全面核戦争の中、人々の生への執念や葛藤、絆、人間としての本性が事細かく描かれています。

核攻撃の直接的な被害をほぼ受けない日本国内における描写が主ですが、パニックになった人々が暴徒と化して略奪行為や強姦を行うさまは、人間の醜い本性が表されています。

そのほかにも、晴海埠頭から南極大陸へ向かう連絡船に何千人もの人が群がった挙げ句、無理矢理出港してすぐに沈没してしまったり、羽田空港から飛び立とうとする飛行機に、これまた大勢の人が無理矢理乗り込んだ結果、離陸直後に墜落してしまったり、一部逃げ出した人々がたどり着いた先が、食人族の島だったり……なんとも救われないシーンのオンパレードです。

特に、晴海埠頭と羽田空港のシーンはこの作品のハイライトシーンになると思います。

大混乱に陥った人間たちの群集心理が随所で描写されており、1969年に刊行された作品ですが、最近の世界情勢もあって、その臨場感は鬼気迫るものがあります。

そんな極限状態の中でも、家族を守るために奔走する人々の姿も細かく描かれていて、文章表現的な古さはあるものの、読み応えのある大変面白い作品でした。

筒井康隆の「霊長類南へ」の発行日は?

今回ご紹介した「霊長類南へ」は、1969年10月15日に発行されています。

その後、1970年に「第1回星雲賞(日本長編作品部門)」を受賞していますよ。

50年以上も前の小説ですが、いざというとき、人間の醜さはこんなにもはっきりと浮かび上がってくるということを、これほどまでにわかりやすく、かつ陳腐にならずに描いた作品は他にないと思います。

筒井康隆のプロフィールや経歴は?

ここでは、筒井康隆さんのプロフィールや経歴をご紹介します。

プロフィール

  • 名前:筒井康隆
  • 年齢:89歳(2024年4月現在)
  • 生年月日:1934年9月24日
  • 出身:大阪府大阪市
  • 身長:166.5cm
  • 血液型:B型

経歴

1960年に『お助け』でデビュー。

代表作は『時をかける少女』(1967年)、『日本以外全部沈没』(1973年)、『パプリカ』(1993年)など。

主な受賞歴は星雲賞(日本長編部門)、川端康成文学賞(1989年)、日本SF大賞(1992年)など。

大阪府大阪市に生まれ、幼少期から漫画と映画に没頭し、江戸川乱歩を愛読していました。

25歳の時、雑誌『SFマガジン』を読んで衝撃を受け、SF同人誌を創刊(当時はSF小説を受け入れる文学賞が存在しなかったため)。

その同人誌が江戸川乱歩の目に留まり、作家デビューを果たします。

結婚を期に31歳で上京、専業作家となるも、しばらく苦しい生活が続いたそうです。

その後、1960年代後半から1970年代にかけて『くたばれPTA』、『ベトナム観光公社』、『懲戒の部屋』、『脱走と追跡のサンバ』など有名作品を次々と発表し、次第に熱狂的なファンを獲得していくことに。

1980年には日本SF大賞の創設に尽力する一方で、純文学にも力を入れ始めます。

そして、1993年の断筆騒動を経て、1997年に『邪眼鳥』で小説家復帰を果たし、『わたしのグランパ』のようなジュブナイル小説を発表。

近年はライトノベルに興味を持ち、2008年に『ビアンカ・オーバースタディ』を掲載しています。

筒井康隆の主な代表作品は?

ここでは、筒井康隆さんの主な代表作品をご紹介します。

  • 『時をかける少女』
  • 『日本以外全部沈没』
  • 『パプリカ』
  • 『虚人たち』
  • 『わたしのグランパ』

 

この中では、『時をかける少女』は知っている方も多いかと思います。

1972年に『タイムトラベラー』としてテレビドラマ化されて以降、1983年公開の大林宣彦監督による実写映画、2006年公開の細田守監督によるアニメ映画など9回にわたって映像化されており、漫画、絵本、ドラマCD、舞台などさまざまな形に翻案されているメディアミックス作品となっています。

ぜひ、チェックしてみて下さいね!

筒井康隆の「霊長類南へ」をおすすめしたい人について

最後に、筒井康隆さんの「霊長類南へ」をおすすめしたい人についてがいていきたいと思います。

小松左京先生・星新一先生と並んで「SF御三家」とも称される筒井康隆先生の作品なので、SF好きな方はもちろん、『日本沈没』などの災害をテーマにした作品や、絶望的な状況で必死に生きようとする終末パニックものが好きな方にもオススメしたいです。

混乱する人間たちを濃密に描写しながらも、次々と場面が切り替わるので、それこそ映画を見ているような感覚になることができます。

また、この作品は人間の暗部を全面に出しつつも、家族の絆や愛情、人々の生への執着や葛藤が細かく描かれているので、一種のヒューマンドラマとしても読むことができます。

近年では使われない古い表現も一部あるものの、若い人にぜひとも読んでもらいたい一冊です。

まとめ

今回ご紹介した筒井康隆氏の「霊長類南へ」は、核戦争後の混乱した世界で生き延びを図る人々の群集心理を描いた傑作SF小説です。

絶望的状況下で人間の醜悪な一面が露呈しつつも、家族への思いや生への執着など人間らしさが光るシーンも少なくありません。

SFファンはもちろん、終末ものが好きな方にもぜひおすすめしたい1冊です。

近年の世界情勢を鑑みると、描かれた光景のリアルさに驚かされると思いますよ。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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