海野十三の「十八時の音楽浴」を読んだ感想について！代表作品やおすすめしたい人も紹介！

海野十三氏の作品は、推理小説やSF小説、さらには科学解説など幅広ジャンルにわたっています。

彼の作品は独特の世界観と洗練された文章で知られており、日本SFの先駆者として高く評価されています。

そこで今回は、海野十三氏の「十八時の音楽浴」を読んだ感想、プロフィールや経歴、主な代表作品、そしておすすめしたい人についてご紹介したいと思います。

ぜひ、最後までご覧ください。

海野十三の「十八時の音楽浴」を読んだ感想について

早速ですが、「十八時の音楽浴」を読んだ感想からご紹介したいと思います。

まだSFというものが日本で知られていなかった昭和初期に活躍して「日本のSFの父」と呼ばれている海野十三氏の作品は、SFや探偵小説を全集などで読みましたが、その中でもモダンな作品のタイトルに惹かれて、その内容も印象的だったのが、この短編SF小説です。

戦争によって人口が減って、人類が地上を去って地下で暮らすようになった時代を舞台にしている物語で、独裁者が洗脳効果がある音楽浴が義務付けて国を統治しようとするという設定が、現在もなおときどき社会問題になる独裁国家や新宗教・セミナー商法の洗脳の問題に通じるものがあり、少しも古さを感じさせません。

この作者の小説は、同時代に活躍した江戸川乱歩とはまたタイプの違うモダンな要素を物語の輪郭に感じさせて、読みながら映像が浮かんできそうでした。

ストーリー展開に惹きつけられただけでなく、独裁者が音楽によって国を統治しようとするという設定に考えさせられるものがあります。

エンターテインメントであるだけでなく、主人公の独裁大統領が女好きという設定になっているなど風刺も込められていて、社会派のメッセージ性を秘めたSFとも言えると感じます。

登場人物ひとりひとりの異色な個性も印象的です。

海野十三のプロフィールや経歴について

ここで、海野十三氏のプロフィールや経歴についてご紹介します。

プロフィール

名前：海野十三　
本名：佐野昌一　
年齢：1949年に54歳で死去　
生年月日：1897年12月26日　
出身地：徳島県徳島市

経歴

徳島県の御典医の家に生まれ逓信省勤務を経て、雑誌「新青年」で作家デビュー。

科学小説のほか、科学解説書、虫食い算の解説書、探偵小説なども執筆しています。

「海野十三」（うんのじゅうざ）というペンネームは、マージャンが好きで「マージャンは運が十」という考え方だったことに由来しているそうです（「運が十」→「うんのじゅうざ」）。

出生地の徳島の徳島中央公園に文学碑があり、碑文は江戸川乱歩によるもの。

「黒死館殺人事件」で知られる小栗虫太郎氏、デビュー誌だった「新青年」の編集者だった横溝正史氏らとも交流が深かったそうです。

海野十三の主な代表作品について

「十八時の音楽浴」以外の主な代表作品をご紹介します。

「深夜の市長」
「火星兵団」
「火葬国風景」

どれも海野十三氏らしい作品かと思いますが、個人的に印象に残ったのが「深夜の市長」です。

大都会の闇を舞台にした”不思議の国のサラリーマンのアリス”といった作品です。

ぜひ、チェックしてみて下さいね。

海野十三の「十八時の音楽浴」をおすすめしたいのはこんな人！

最後に、「十八時の音楽浴」をおすすめしたいのはこんな人！としてご紹介します。

「今のSF小説・SFマンガが好きな人」に薦めたいです。

その理由・・・海野十三氏は星新一氏、筒井康隆氏、手塚治虫氏など後年の多くのSF作家やSF漫画家に大きな影響を与えたと言われているので、そうした人たちの作品を愛読している人に、名作SFの原点となったのはどういう作品なのかを知ってもらって、日本のSFがどのような過程を経て成熟していったのかを感じてもらいたいと思います。

著作権が既に切れており、青空文庫やYouTubeでの朗読などによって気軽に読んだり聞いたりすることができるので、「十八時の音楽浴」を入門編として、ほかのい海野十三作品にも触れてほしいと思います。

SFに対する理解が深まり、魅力が増すはずです。