今回紹介する作品「アンドロイドお雪」は、平井和正氏によるSF小説です。
この作品は、人間と見分けがつかないほど進化したアンドロイド、お雪が主人公。彼女が織り成す人間との交流、愛と悲しみ、そしてアンドロイドとしての存在意義を問う物語が展開されます。
そこで今回は、その「アンドロイドお雪」を読んで思ったことや読んでもらいたい人、そして作者である平井和正氏のプロフィールや経歴などをご紹介したいと思います。
ぜひ、最後までご覧ください。
アンドロイドお雪(平井和正)を読んで思ったことは?
まずは、この作品を読んで思たことを書いていきたいと思います。
この作品は、アンドロイドSFとしての面白さだけでなく、ミステリーとしての意外性、恋愛小説、アクション小説としての充実さを兼ね備えた、多彩な魅力を持つ傑作です。
ロボットやアンドロイドが日常的に存在し、声を出すことができるようになったサイボーグ猫や犬がペットとして飼われる未来が舞台でありますが、そんな進化した世界であっても、人間の精神的な成長は見られず、悪行や暴力、腐敗した策略がはびこっている点は、現代社会と変わらない実情を反映しています。
性に関する風俗も一般化しており、違法なアンドロイドの存在も示唆されています。
主人公の野坂アキは、そのような社会で刑事として働く中で、自分が世話になった老人から遺産として若い女性「お雪」を託されますが、「お雪」は、人間と見分けがつかない高性能アンドロイドであることが明かされます。
この出会いをきっかけに、物語はミステリアスでバイオレンス、エロティック、そして感動的で切ない情感が溢れる展開へと進んでいくのですが、深い感情を揺さぶる、極めて充実したSF作品だと思います。
平井和正のプロフィールや経歴は?
ここでは、平井和正さんのプロフィールや経歴をご紹介します。
プロフィール
- 名前:平井和正
- 本名:同じ
- 年齢:76歳没(2015年1月17日没)
- 生年月日:1938年5月13日
- 出身:神奈川県横須賀市
- 身長:不明
- 血液型:不明
- 最終学歴:中央大学法学部
経歴
中央大学在学中には「白門文学」に「虎はねむらない」「夜の干潮」などの中短編を掲載しており、それらの習作は非SF作品ですが、「虎はねむらない」という全1巻の作品集に収められています。
SF作家としての出発は、SFマガジン第1回空想科学小説コンテスト奨励賞を受賞した「殺人地帯」。
それからしばらくSFマガジンに短編を載せており、それらの初期短編は「悪夢のかたち」「虎は暗闇より」「魔女の標的」「悪徳学園」などの短編集に収録されています。
漫画原作者として活動していた期間もあり、「エイトマン」としてアニメ化された「8マン」や、のちに小説として発行した「幻魔大戦」「ウルフガイ」「デスハンター」などでも知られています。
平井和正の主な代表作品について
ここでは、平井和正氏の主な代表作品をご紹介します。
- 「狼の紋章」に始まるウルフガイシリーズ
- 「狼男だよ」に始まるアダルト・ウルフガイシリーズ
- 「幻魔大戦」シリーズ
- 「死霊狩り(ゾンビーハンター)」全3巻
- 「サイボーグ・ブルース」
- 「超革命的中学生集団」
- 「悪霊の女王」
- 「地球樹の女神」
など
平井和正氏の作品は、シリーズものも多く、映画化やアニメ化された作品もあります。
ぜひ、チェックしてみてくださいね。
アンドロイドお雪(平井和正)を読んでもらいたい人について
最後に、「アンドロイドお雪」を読んでもらいたい人について書いていきたいと思います。
読書を通じて、ただ冷静に分析するのではなく、作品の世界に深く没入し、主人公たちと共にその世界で生きていくような体験を望む方々に、特にお勧めしたいです。
平井和正氏は「情念の作家」と称されるほどに、自身の強い感情を作品にぶつけ、読者に伝え続けた作家だからです。
その中でもアダルト・ウルフガイシリーズは、主人公の「私」の視点で描かれ、三人称の視点を持たずに進行するため、平井氏の情念が最も力強く表現されている作品群であると言えます。
その情熱は読者にも強く伝わり、他の作品とは比べ物にならないほどの熱量を感じさせます。
シリーズ第一作「狼男だよ」はハードボイルド小説のパロディとして書かれており、最初はそこまでの情念を感じさせないかもしれませんが、「狼よ、故郷を見よ」「魔境の狼男(リオの狼男・人狼地獄篇)」「人狼暁に死す」「人狼戦線」など、作品が続くにつれ、その情念はますます激しく、読者を圧倒するほどになります。
まとめ
今回は、平井和正氏の「アンドロイドお雪」について感想や読んでもらいたい人、そして平井氏のプロフィールや経歴、代表作品についてご紹介しました。
「アンドロイドお雪」はただのSF小説ではなく、愛と悲しみ、人間とアンドロイドの境界を探る深遠な物語です。
平井和正氏の独特の情念が込められた作品であり、読者にはその感情の深みと物語の多層性をじっくりと味わってほしいですね。
この作品を手に取ることで、未来の技術と人間性の本質について、新たな視点を得ることができるかと思います。
文学とSFの融合を楽しみたい方には、特にお勧めの一冊です。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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